自尊心という甘い響きの根拠
ちょっと興味深いお話があるので、ご紹介したいと思います。
世の中では「自尊心」という言葉は、今や子どもだけでなく、大人の世界でも頻繁に耳にします。
「自尊心を育てる教育」
「自尊心を高めよう」
「社員の自尊心の育成」などなど
自尊心という響きに、私たちは疑いもなく、いろんな期待を込めて、信じ切っているんだと思うんです。
自尊心さえ高めれば、学力が高まるし、いじめや犯罪は減るし、幸福感が高まるはずだと、かなり過大視して、大きな期待をかけているのかもしれない…と考えさせられる報告があるのです。
自尊心の測定技術はかなり曖昧です。
基本は自己申告ですから、本人のバイアスが大きくなるので、正確に測定するのはかなり難しいということを踏まえて、ちょっと意外なお話をお伝えしますね。
【自尊心と仕事の関係】
「自尊心が高い人は仕事が出来る」と言われていましたが、実際はかなり一貫性がなく、仕事の”質”には相関関係はないことがわかった。(2001年ジャッジ報告:被験者5000名以上)
【自尊心と対人関係】
自尊心の高い人の自己評価によると、対人葛藤処理が高く、人への情緒サポートも高いと関連性が出ましたが、ルームメイトからの評価だと、相関関係は小さい事がわかったのです。
ただ、唯一相関関係があったのは「新しい友人を作る」でした。(1988年ビューメスター報告)
【自尊心といじめ】
仲間の評価で、自尊心の高い少年は、いじめを受ける少年を守ろうとしていた。
しかし、防衛心が強い自尊心の高い少年は、いじめを行う側にいた。
よって、自尊心だけでは、いじめる傾向にも、いじめと闘う傾向にも混在していることがわかった。(1999年フィンランド報告)
【自尊心と非行】
自尊心が低いと、非行が増える。
自尊心が高くても、非行が増える。
その理由は、所得という隠れた変数が大きく関与していることがあることがわかった。
(2005年ドネラン報告)
いろいろと調べてみてわかってきたことは、「自尊心」という言葉の背景に、「自己愛」という言葉が隠れているんだということです。👀
アメリカのギャングなどは、自尊心が高いと言われますし、イギリスでは、自尊心にこだわりすぎた教育の結果、自己中心的で、自己愛の歪んだ世代が出現してしまったとも言います。
自分を肯定することはとても大切なことですが、一歩間違えると、自己愛を加速させてしまう側面を持つということを、知っておくことはとても大切なようです。
では、自尊心という言葉に振り回されないためには、どうすればいいのでしょう。
それには、自尊心という言葉が、なぜこんなにも私たちを魅了させるのかを考えると、何かヒントが見つかるかもしれません。
ひょっとしたら『自尊心=幸福感』という関連づけがあるのかもしれません。
自尊心が低いと、幸福感を感じにくくなり、社会生活も、健康も、様々な面で、支障をきたすと捉えられているのかも。
だとしたら、幸福感はどうすれば感じられるのか、という問いに、真正面から向き合うことが大切ですね。
幸福感は、人それぞれでしょうが、人間という生きものは、単体で生きることを選ばなかったことで、生き延びに成功したのです。
だから、人の存在は重要で、信頼できる人との関係を丁寧に築いていくこと。
そして、誰かのため、社会のため、何かのためにに自分が役立つ存在だと感じられると、幸福感はアップするんだと思います。
だとしたら「自尊心を高めよう!」というより
「人を好きになろう」
「人を助けよう」
「人に幸せを届けよう」
と働きかけた方が、自己愛の肥大した”困ったさん”の増産は防げるし、誰もが住みやすい社会になるんじゃないかなと思ったりするのです。☺️☺️
人との距離が遠くなる今の時代だからこそ
もっと近づいて❣️
もっと関わって❣️
そして、誰かともっと幸せを感じ合って❣️
と伝えたいです。(鶯)
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